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第9-3話夜の語らい

 きょとんとなって私を凝視する彼へ微笑みかける。 「私は幼少の頃、陛下の遊び相手としてともに過ごしていました。とても心根が真っすぐで、優しくて、国のことを真に考えて下さる方……私には陛下が眩しくて、一番近くに居られることが誇らしかった」 「そ、そんな陛下のお顔と似ているなんて、光栄です……っ」 「フフ、貴方は本当に陛下と瓜二つですから、年を重ねれば今の陛下と同じ、精悍で惚れ惚れする顔になるでしょうね。私の護衛につくようになれば、陛下をその目で見る機会も出てくるでしょう。未来の顔に自信がつきますよ」  ゆっくりと頬を撫でると、彼が全身を強張らせる気配が伝わってくる。もし陛下が彼と同じ年頃だった時にこうして触れたら、同じようになっただろうかと考えてしまう。  確かめようのない過程の妄想。今はそれが楽しい。  だからすんなりと、本人に言えないことが口から出てしまう。 「私はね、陛下が好きなんです。出会って間もない頃からずっと、心は陛下に奪われたまま……お慕いしています」  届くはずのない言葉を陛下自身へぶつけるように口にすれば、彼が息を引く。そして瞬く間に顔を赤くし、ゴクリと唾が大きく鳴った。

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