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第11-2話※成人を迎えて

 新年を迎え、俺は齢を十五に刻み、成人となった。  エケミル様を守る護衛たちの中では明らかに腕が劣り、未熟さ際立つ俺だったが、特別に護衛の任へ就くことを許された。  初めて足を踏み入れた王宮の広さと華やかさに委縮しながら、新年の儀に立ち会うエケミル様の傍に控え、万が一の凶刃に備える。  柱の影から見えるエケミル様の横顔は凛として、その美しさに見惚れてしまいそうになる。しかし俺へいつも向けてくれる温かさが微塵もなく、孤高の三日月のような鋭利で冴えた美しさ。一切気を許さぬ張り詰めた様子に、ここがエケミル様の戦場なのだと理解した。  何事もなく粛々と新年の儀が終わると、一転して賑やかな宴へと様変わりする。  見たこともない豪勢な料理が並び、歌や踊りが繰り広げられ、それを肴に酒を楽しむ――儀式はおまけであって、宴が王侯貴族たちの本命なのだとすぐに理解した。  誰も彼もが新年を迎えた喜びで浮かれている中、エケミル様は陛下の元へ寄り、にこやかに言葉を交わしていた。  何を話しているのかはまったく聞き取れない。  お二人とも新年の儀では表情のない仮面をつけたような顔をしていたのに、今は談笑に興じている。

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