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第12-1話●拙い口づけ

   ◇ ◇ ◇  新年の宴を終えて私が屋敷へ戻る頃、夜はすでに深まり、国中に静寂の安らぎを広げていた。  いつもより遅い時間の帰途。体も疲れを覚えている。  それでも今日という日は彼にとって大切な日。だから私は身を清めた後、彼を寝所に招いた。 「初めての護衛、ご苦労でしたね。どうでしたか?」 「は、はい、何もかもが初めて見るものばかりで、とても緊張しました」  私の許しを得て寝台の縁に腰かけた彼がわずかに苦笑する。王宮にいる間、ずっと緊張し続けたせいか、まだ肩に力が入っている。  成人したとはいえ、まだ顔にあどけなさは残り、初々しいまま。  思わず口元が緩んでしまい、私は身を乗り出して安易に彼の頭を撫でた。 「よく頑張りましたね。これから何度も足を運ぶことになりますから、徐々に慣れていきますよ……おや?」  今までの彼なら、こういう時は顔を赤くしながら目を輝かせ、良い返事をしてくれる。  しかし今は顔こそ赤いものの、複雑そうに顔をしかめて目を逸らしてしまう。  心の中で私は首を傾げてしまったが、すぐに理由が思い当たり、小さく吹き出してしまった。 「すみません、もう子供ではありませんでしたね。成人おめでとう。私の元へ来てからまだ一年経っていませんが、明らかに来る前よりも立派になって嬉しく思います」 「エケミル様……ありがとうございます」 「今日はこれを伝えたくて呼んだのですよ。それと、私から貴方へ成人の祝いに何か贈り物をしたいのですが、希望の物はありますか? どうか遠慮せずに教えて下さい」

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