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第12-2話●拙い口づけ

 私の言葉を聞くにつれて、彼の目の色が変わっていく。  人から獣へとなり変わろうとするような、瞳のギラつきに熱さ――獲物として狙われたことを察した瞬間、私の胸を鼓動が強く叩いた。  彼の体が動く。  私の肩を掴み、絶対に逃げられないよう捕らえてすぐ、彼は首を伸ばして私に顔を寄せた。 「貴方が欲しいです、エケミル様……っ」  返事をする間すら与えず、彼が私の唇を奪う。  強引で緩急のない、ただ唇を押し当てるだけの口づけ。  まだ何も知らない者の接吻など初めてだ。今まで相手にしてきた者の中で一番拙い。  しかし、それがいい。  誰の色もつけられていない真白きものを、私だけの色で染められるのだから。  本当はまだ交わるつもりはなかったが、彼が私を切望するのならそれでいい。  恐る恐るといった様子でゆっくりと唇を離した彼へ、私はうっすらと微笑んだ。 「それが望みならば、喜んで差し上げますよ。どうすれば私を深く捕らえることができるか、教えてあげますから……ね?」  甘く囁いてから、私は自ら彼に唇を重ねる。  そっと押し当ててすぐに離れてから、また重ねてを繰り返して唇の先で彼に戯れる。それから深く口付け、舌を挿し込み、何も知らぬ彼の舌へ絡まった。

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