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第13-1話●学びゆく彼
ピクッ、と彼の体が小さく跳ねる。少し驚かせてしまったらしい。緊張で縮こまった彼の舌が動こうとするが、あまりにささやかで可愛らしいものだ。
これもまた新鮮で悪くはないが、続けば私の不満が溜まるだろう。
一度唇を離し、私は彼に笑いかけてから耳元で囁く。
「難しく考えないで……私の中で暴れたいのでしょう? 沸き上がる衝動のまま、私を好きにすればいいんです。ほら……」
唇の先がかろうじて触れない所で止まり、彼からの接触を待つ。
息を止める音がした直後、興奮を覚えて熱くなった彼の唇と舌が私を奪う。
勇気を出して一歩を踏み出すように、彼の舌が私の口内で大きく蠢く。
畏れ多いという枷を一度壊してしまえば、後は欲情のままに私の口で淫らに動く。彼の厚みがある舌が上顎を滑り、力強く私の舌を絡め取るようになり、体の奥へ疼きの火が灯される。
「……は……ん……っ……」
私の息が零れ、彼の口づけに感じ始めているのが覗き出す。言葉にせずともこれで良いのだという確信を得て、彼は私の慰め方を学んでいく。
彼も気持ち良さを覚えているのか、息も舌の動きも荒さを増していく。
興奮のままに私を押し倒し、上に被さりながら唇を貪る様は、ようやく糧を得て食らいつく飢えた犬のようだ。
きっと陛下ならば洗練された動きで、ゆっくりと交わっていくのだろう――一瞬、私の頭が身勝手な仮定を妄想し、彼と比べてしまう。
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