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第14-3話●狂気に染まる

 この日から私の寝所へ彼を呼ぶ度に体を重ねた。  若いからか、私を悦ばせようと必死なのか、彼は私が悦ぶことをよく知り、学び、すぐに活かしてくれた。  私に貪欲なことは嬉しくもあり、少し残念でもあった。  陛下と似ているのは顔だけ。王という立場を幼少から意識していた陛下は、誰かに心をすべて預け、その者だけを求めるような営みはしない。  やはり陛下とは違う誰かなのだという現実を、交わる度に突きつけられる。  その現実から逃れたくて、私は陛下の名を何度も呼んだ。  けれど、呼べば呼ぶほど彼は私を快楽の底へと沈め、執拗に愛でた。  彼は陛下の代わりをさせられることを、一切嘆くことはなかったし、どう思うかを口にすることもなかった。  しかし彼は私を快楽で追い詰め、責めて立てている気がした。  現実の陛下ではない、自分が私を抱いているのだと言い聞かせるように――。  今まで私が代わりにした男たちは、誰も陛下に妬くことはなかった。  自分を見ようとしてくれない私に憤り、悔しさを滲ませるばかり。陛下に張り合おうなどとは誰も思わなかった。  彼は陛下の面影を存分に利用して、私を奪おうとしてくれた。  なぜか、自惚れるな、という反感を覚えなかった。

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