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第15-1話時は巡り

   ◇ ◇ ◇  私のしていることがおかしいことぐらい、十分に理解していた。  それでも彼が私の狂気に付き合ってくれるおかげで、心から王に仕え、執政に力を入れることができた。  ずっとこのままでやっていければいい。  陛下の目に届かぬ所で繰り返される秘め事は、どんな薬でも和らぐことのない胸の痛みを消し、私を救い続けてくれた。  彼は日に日にたくましく、私が思い描く陛下よりも凛々しく成長していく。  忠義者の彼は徹底して私に尽くし、確実に強さを身に着け、常に近くに控えてもらうだけの護衛になってくれた。  夜も私が求めるだけ体を繋げ、どれだけ散らしても溜まってしまう陛下への劣情を満たしてくれた。  よく興奮のあまり彼は私の意識が途切れるまで止まらなかったが、その勢いが私にはありがたかった。身に余る快楽を与えられると、私であることを忘れることができたから。  そうして三年の月日が流れた。  この三年が私の人生の中で最も充実し、心が安定していた。  何もかもが崩れ落ちる時を迎える未来を微塵も考えぬほど、私はこの生活に浮かれていた――。

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