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第17-3話ズレ
こんな時でも、言葉を交わせば築き上げてきた親しき空気が流れる。
気を抜けば泣き崩れ、陛下に縋りつき、まだ逝かないで欲しいと見苦しく暴れてしまいそうだ。いっそ逝くなら私も連れて行って欲しいとすら口に出して、最期の別れで陛下に幻滅される想像が頭をよぎる。
緊張の糸が途切れないよう気を引き締め続けている私に、陛下がそっと手を伸ばす。
気づいてその手を握れば、弱々しいながらも力強さを残した笑みを浮かべた。
「エケミル、今までずっと俺を支えてくれて、本当に感謝している」
「これからも支え続けますよ。貴方は実直過ぎて、一癖も二癖もある王宮の有力者たちを相手にするには危ういですから……厄介なことは私がすべて受け持ちます。だから……元気になられて、王の道を歩き続けて下さい……っ」
話していく内に感極まってしまい、私の声が詰まってしまう。
初めて出会い、親しくなる内に陛下がこの国を変え、より良いものにしていきたいと夢を語られ、ともに駆けようと誓いを立てた――今までの思い出が一瞬で頭をよぎり、抑え続けていた心を揺さぶる。
私をなだめるように、陛下の親指が私の手を撫でた。
「お前の気持ちに応えたいが、俺はもう駄目だ……目を閉じたら、次に目覚める自信がない……だから、今の内にお前に伝えておく――」
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