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第18-1話身の内で育ちゆく怪物

   ◇ ◇ ◇  普段からやり続けてきたことは、どれだけ失意の中にあったとしても体が勝手に動いてくれる。  陛下の――先王の葬儀を終えた後、私は変わりなく宰相の執務をこなしていた。  いや、葬儀を終えて次の日にはマクウス王子の戴冠式を行い、新たな王の誕生を国中で祝い、いつになく慌ただしく動いていた。  今の私にとって忙殺されることは非常にありがたい。  少しでも考える余裕が生まれてしまえば、あの日のことを考え、己を歪ませてしまう気がしたから。  涙を滲ませたのは、先王陛下と最期に言葉を交わしたあの日だけ。  逝去された後からは、むしろ冷ややかな仮面でも着けたように、視界が涙に揺らぐことはなかった。  必要な業務をこなして指示を出し、マクウス新王に分かりやすく噛み砕いて執務のことを教えていく――心は何も感じずとも、体だけが反射で動いているのがよく分かった。  皮肉なことに先王陛下がおられた時よりも、私に従う者が増えた。  執務は邪魔されるどころか、多くの者が進んで協力してくれて、私の望んだことがすぐに形になる。  ずっと自己中心的な有力者たちをどう動かそうかと頭を捻り続けてきたというのに。今まで苦労はなんだったのかと呆れるばかりだった。  先王陛下がおられなくなっただけで、世界がこんなにも違う。  王宮内でも、民からも、私を称する声が大きくなった。  私は先王陛下の意思を継ぎ、執務の方針を変えずにやり続けているだけなのに。

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