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第18-3話身の内で育ちゆく怪物
彼に飽きた訳ではない。
あまりにも先王陛下に似ているその顔を見るのが辛くて、私は多忙を理由に彼の顔を見ないようにしていた。
護衛として近くにいる時ならば、よほどのことがない限り私に姿を見せることはないし、黒衣で顔を隠しているからその顔を見なくても済む。
だが、夜の相手をさせる時は、どうしても顔を見ることになってしまう。
いくら完全なる闇の中で行為に及んだとしても、気配や触れ合いでなんとなく分かってしまう輪郭に、陛下の面影を色濃く見てしまう。
はっきり顔を見ても、見なくても、彼が私に陛下を見せてしまう。
強く惹かれてやまない姿が、私の心を大きく揺らし、狂わせる。
声を聞くだけでもすでに胸がざわつき、まともな自分を手放したくてたまらくなるというのに。
「……離れなさい。私が貴方を見限る前に――」
「構いません……っ……これ以上、失意のまま生きる貴方を見たくありません……っ!」
腕が弱まるどころか、ギュッと締め付けを強めて私を抱き込む。
久しぶりの抱擁に胸が詰まる。
彼の体は先王陛下が知ることのなかった、私という淫らで狂った獣を知っている。
一瞬で私の体は情欲に塗れた日々を思い出し、激しい疼きを覚えてしまう。
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