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第21-2話●朦朧とする意識の中
私は力の入らぬ腕を彼に回し、逃さぬように捕らえる。
そして彼の耳元で囁いた。
「……あいしてる……っ……あなたを……」
陛下の名を呼ばぬままに彼へ愛を捧げる。
沸き上がる感情を抑えず、ただ素直に吐き出しただけ。
睦言で口にするのは初めてだった。
先王陛下ではなく、この腕の中にいる彼自身を愛していると。
彼はそのことに気づかぬ愚か者ではない。
一瞬身を強張らせ、私の心を汲み、一層激しく私を攻め立てる。
本当に私を快楽で殺さんばかりに、彼の腰つきが、息が、荒さを増す。
……私をもっと壊して。
愛しき身代わりとなった貴方も壊れて――。
ずっと私を絶頂させるばかりだった彼の滾りが、際限なく突かれて火照らされた最奥へ欲情の熱を放つ。
「――……ッッ!……ぁ……ぁ、ぁぁ……」
思わず私は背を仰け反らせ、彼から注がれる精に感じ入る。
脈打つ肉壁が喜んで彼の想いを飲み込んでいく。
身代わりではない彼を心から受け入れることの、なんと甘美なことか。
緩み切った顔がさらに解け、彼に蕩けてだらしのなくなった姿を晒す。
もう喪失に悲しむ私はいない。
ただ彼に奪われ続けることに歓喜するだけの、快楽に奔放な娼夫。
この国はそんな人間に命運を握らせ、このまま新王が育つまで国を保たせようとしている。
なんと愚かで憐れなことか。
私は快楽のままに生きる。この身が破滅するまで、私を苦しめ続けたものを壊したくてたまらない。
――どちらの破滅が早いだろうか?
遠ざかる意識の中、仄暗い本音が頭の中央に浮かび上がる。
そうして彼にすべてを奪われたまま、心地良く闇に沈んでいった。
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