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第22-3話●※変わり果てても

 俺は今、身代わりではない。  エケミル様は俺を受け入れ、俺に向けて愛を注ぎ、俺との日々に溺れている。  愛し合えているのだ。身代わりにならなければ、その体にも心にも触れることができないと思っていた、近くて遠い憧れの愛しい人に――。  寝台の上で大きく果てて脱力するエケミル様を、俺は深く抱き込みながら持ち上げる。  そして向かい合って座った形で交わりながら、俺にエケミル様を寄りかからせ、腰を優しく上下に揺らしていく。 「ぁ……ぁ、ぁ……っ……ぅ、……ァ……ッ」  か細い声でエケミル様が啼く。うっとりとしてぼやけた声が、なんとも可愛らしい。  俺よりも遥か年上だというのに、出会った時と変わらぬまま美しく若々しいまま。そんな方に可愛いなどと思うなど、畏れ多いことだとは思う。だが、自分の心に嘘はつけない。 「エケミル……もっと啼いて……俺だけのために」  耳元で我が物顔で名を呼び、望みを囁けば、それだけでエケミル様の中が強く締まり、脈打って絶頂に喘ぐ。  言葉はなかったが、かすかに俺の背へしがみついた腕に力がこもり、返事の代わりを果たす。  次に最奥を貫いた時、「はぁ……ッ」と一際声が大きくなり、俺の耳を溶かした。

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