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第22-7話●※変わり果てても

 先王陛下を失った悲しみじゃない。ぶつけようのない怒り。  必死に堪え続けていたというのに、俺がエケミル様の良心を壊してしまったのだ。  俺と関係を再開させてしまったあの日から、エケミル様はこの国を見限った。だから俺との情事をこんなにも頻繁に持ち、快楽に生きるようになってしまわれたのか。  胸の奥が締め付けられ、今すぐ叫びたい衝動に駆られる。  だが奥歯を噛み締めて衝動を堪え、俺はエケミル様に近づき、覆い被さる。  淫らで美しい、俺だけの至宝。  間近に見つめ合った後、俺は静かにエケミル様へ口付けた。 「俺は、貴方を守るだけです……何があっても、必ず……」  喉の奥から絞り出すような低く掠れた声で決意を囁くと、エケミル様は何も言わず微笑み、俺の頬へ手を添える。  どこか安堵したような、心から喜んでいるのが伝わってくる無垢な笑み。  貴方が俺に望んだのは、ともに堕ちること。  ――この国を見捨てる罪悪感が、エケミル様に壊されていく。  壊れた者同士、もう元には戻れない。  突き進むことしかできない狂気の道への一歩を、俺は踏み出した。  エケミル様の唇を吸い、舐り、淫らになるばかりの交わりを再び始めながら――。

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