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第24-3話苛立つ面影
強さは体だけではない。
私が毒を与えていることを、陛下は薄々とだが理解していた節がある。その上で強さを慎重に育み、ディルワム将軍を引き込んだ――どれだけ毒に苦しみ、孤立無援の窮地に追い込まれていても、ずっと粘り続けた陛下の心の強さに気づく。
今まで通りではいけない。何か別の手を打たねば。
考えをめぐらしながら、私は自分の胸が高揚していることに気づく。
退屈などしていられない。
私の望みを奪おうとする者たちを、どうしてやろうか。
このまま放置すれば厄介なことになるだろうが、今はまだ非力には変わりない。
私の手でどう転がそうか?
――そういえば陛下がイメルドを初めて目にした時、憧れとは別の色が覗いていた。
先王陛下に恋い焦がれてきた私だから分かる。あれは私が抱き続けていたものと同じ色。
子を成すことが責務である王が、子を成さぬ男に入れ込むとは……と、イメルドを後宮に入れる際、まことしやかに言われていた嘆きを思い出す。
陛下の強さの元となっているのはイメルドの存在。
ならばこの強さを弱点に変えてしまえばいい。
絆を深めるほどに、甘美で淫らな欲には抗えなくなる。
思い浮かんだ一手に思わず笑いが込み上げた。
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