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第25-1話イメルドとの接触

   ◇ ◇ ◇  まず私はイメルドとの接触を図った。  容姿と大まかな人物像は掴んでいたが、どんな男なのかは実際に言葉を交わさなければ分からない。  私の動きには気づいているようだから、私が接触しようとすればいい顔はされまいとは思っていたが――新年の宴の際にイメルドと話がしたいと申し出ると、マクウス陛下はあからさまに不快な顔をされた。  父王を失ってから私に気弱な顔しか見せてこなかったのに、私の顔色をうかがわずに意思を示してきた。その成長に感心していると、 「イメルドに用があるなら、私も同席したい。それで構わないのなら――」  一臣下に対して、陛下が明らかな執着を私に見せる。奪われてなるものかと必死な様に、やはり特別な感情が覗いている。 「少々込み入った話になりますゆえ、陛下は退屈されるかと……あちらにディルワム殿がおりますから、声をおかけになられてはいかがですか?」  暗に二人で話したいことを私が告げても、陛下から認める発言は出てこない。  やはりまだ子供。感情を殺せず、自分の快不快を安易に出してしまうのは悪手だというのに。  声に出して言おうものならば、まだ未熟で浅慮であると周りに知らしめることになる。  近くにいる者たちは談笑のフリをして、私たちの話に聞き耳を立てている。立場のみならば、王より上の立場などいない。しかし現実は執政のすべてを仕切る私のほうが、圧倒的な力を持ち、誰も逆らう真似はしない。

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