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第25-2話イメルドとの接触
どれだけ不快でも、私の望みを拒むことは王であってもできぬこと。
それに気づいているようで、イメルドは王よりも先に動いた。
「どのようなご用件か聞かせて頂きたい」
凛々しい顔を引き締め、声を荒げることも不快を滲ませることもなく、イメルドが私に尋ねてくる。
獅子のごとく戦場で暴れ、一人でも無数の兵たちを蹴散らしていく姿に畏怖され、猛火の獅子と呼ばれし元北方の敵将。勇猛なだけの男ではないことが、この行動だけでよく分かる。
アグイロスから武だけの男ではないと報告は受けていたが、実際に話が通じるようで
で何より。好ましい男だと思いながら私は口を開く。
「貴方の祖国のことで聞きたいことがあります。そう怖い顔をされないで下さい。尋問して牢に入れたい訳ではないのです。ただの好奇心……良い材料があれば、利用できればと思いますが」
あくまで話がしたいだけ。今日はそれ以上のことを仕掛けたいとは考えていない。
イメルドという男を知ってこそ、これからの手の打ち方を決めることができるのだから。
ゆらり、とマクウス陛下が立ち上がりかける。
すかさずイメルドは陛下と視線を合わせ、目だけで意思を交わした後に私へ頷く。
不本意ながら後宮に囲われた日々の中で、しっかりと絆を深めている様子が伝わってくる。
――いい傾向で何より。手の回しようがある。
私は胸に高揚感を覚えながら、「ではこちらへ」とイメルドを促し、王宮の中庭へと向かった。
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