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第25-3話イメルドとの接触
新年の宴が続く大広間を抜け出して中庭へ出ると、冷えた空気が私の体を引き締める。
簡単に言葉を交わし、己を紹介してからイメルドと握手を交わせば、その手のたくましさに私の胸が高揚した。
「獅子のごとき活躍、以前から耳にしておりましたよ。よくディルワム殿が貴方との一騎打ちを嬉々として語っておりました」
「他国の者にも知られていたとは、真に光栄だ」
「私にはその才がありませぬゆえ、貴方がとても羨ましい。この手だけでも、強靭で頼もしい感触……素晴らしい」
素直に感じたことを告げると、イメルドの手が強張り、不快そうな気配が漂う。
私を陛下の敵として認識しているのだろう。猛火の獅子と謳われるだけあって、牽制されるだけでも、気を抜くと委縮しそうになる。
力を振るわずとも相手の力を奪えるほどの強さ。
もし叶うならば手駒に加えたい人材だが――内心無理だろうと思いつつ、取り敢えず口にしてみる。
「ぜひ私の所へ来て頂きたい。そのためなら地位も領土も準備致しましょう。首を縦に振るだけで、王の側室という不本意な立場から離れることができるのですよ?」
大半の人間は私に誘われたなら喜んで来てくれる。宰相という肩書きも要因だが、この容姿に惹かれて手を取りたがる者も多い。
しかし、やはりイメルドには意味はなく、彼から手を捻って握手を解かれてしまった。
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