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第26-2話意図せぬ襲撃

 ここが戦場ならば、彼の命はイメルドの手で散らされている。襲撃の失敗よりも、呆然となって隙だらけの姿を晒していることが問題だ。  私の言葉をいつもの始末と判断して、彼が先走ったのは考えずとも分かる。誤解を生む言い方をした私にも非はある――そう結論を出し、私は微笑の仮面を被った。 「今日は引き下がるとしましょう。私は私のやり方を、これからも続けていくだけです」  踵を返して王宮へ足を向けると、思い出したように黒衣の彼がイメルドの下から抜け出し、私の元へと駆けてくる。 「申し訳ありません、エケミル様……っ」  小声で謝罪する彼に言葉で返さぬ代わりに、手を伸ばして頭を撫でて私の意思を伝える。  今日のことで貴方を見限っていない、と。  そして口はイメルドへの伝言を紡ぐ。 「私は貴方をいつでも歓迎しますよ。何年経っても、何が起きても――どうかお忘れなく」  誰もがすぐに飛びついてくる甘い餌を置いても、イメルドは迷いすら見せない。  無言で立ち去る私を見据え続け、警戒を解かない。  これがイメルドの答え。駆け引きすらしない武人らしい潔さに、個人的には好感を覚える。  マクウス陛下は良い駒を手に入れられた。  だからこそ、このまま放置はできない。  時間をかけて陛下の強みを、弱さに変えて差し上げましょう。  もし私の狙いに気づいたとしても、抗うことのできない甘い罠で――。

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