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第28-1話流れは変われど

   ◇ ◇ ◇  私が望んだ通り、マクウス陛下は己の欲に勝つことはできなかった。  いや、王であり続けるために、イメルドへ逃げ込むしかなかった。  夜の教育係が子を成す必要はない。あくまで子種と、最後まで務めを果たせるかという確認ができればいいのだから。  数は多くはないが、過去に男が夜の営みを王や王子に教えた例はある。  ……屈強な武人がその勤めを果たすことは、恐らく今回が初めてではあるだろうが。  間もなくしてアグイロスから、陛下の子種を確認したという報告が入った。  相手は陛下が即位してすぐに後宮へ召し上げられたネフ姫。  冴えない容姿の彼女だが、陛下を支え続けている数少ない人間のひとり。そしてアグイロスとの繋がりが深い少女。  一切の動揺を見せずにネフが務めを果たしたと言ったアグイロスが、私にはひどく不自然に見えた。  彼らもまた互いを見る目が違うことを私は見ている。陛下とイメルドが向け合う目と同じ、想い合っている気配が漏れている。  アグイロスの違和感がなくとも、陛下がイメルドと繋がったことに気づけたが、彼のおかげで確信を持てた。  このことが表に出れば、陛下の種は確かめられたが、女人と通じ合えないという疑惑は強まる。  男をどれだけ抱いても世継ぎはできない。彼らが深く繋がり合うほどに、この事実が王への不信感を増してくれる。

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