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第28-2話流れは変われど

 今まで力強く支えてくれたイメルドは、陛下の手にある一番の強み。  しかし繋がったことで一転、王の立場を脅かす弱みになった。  そのことをイメルドに指摘し、私の駒となるように言えば、彼は王のために私へ下る――。  事は私が思い描いた通りになった――途中までは。  私の狙いに気づいたディルワム将軍が、私の作り出した流れを止めた。  最初からイメルドは自分の情夫で、ディルワムの命で夜の教育係をさせたと言い出し、役目を終えたこれからは副官として手元に置くと告げてきた。  ディルワムは陛下の後ろ盾にはなっていたが、それでも私を敵に回すまいと動きを控えていた。  それが私に直接、完全に陛下の側へ回るという意志表示をしながらイメルドを庇った。  戦にのみ目を向けていた男が、権力の駆け引きの場へ躍り出る。  この一手で私の狙いは崩されてしまったが……別に構わない。  後宮からイメルドは出ることになり、陛下とはか細い繋がりしか持てなくなる。  近づくほどにイメルドは弱点になる。彼を弱みのままにできるのならそれでいい。  想い人を目で追うことができても、触れ合えないもどかしさはさぞ辛いことだろう。  陛下の心の痛みを想像すると、少しだけ私の心が慰められる。  成人を果たしたマクウス陛下は、先王陛下の面影が強くなった。  そんな彼が恋情に苦しむ姿が、まるで先王陛下が苦しんでいるようにも見え、胸のすく思いだった。

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