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第29-2話変えられぬ道

 宰相として正しくマクウス陛下と向き合うことになり、ともに国のために尽力していく。  先王陛下と同じ関係を築ける日が来るとは思わなかった。  政をこなすという点で、陛下は先王陛下よりも優れているように感じる。  熱意と良心で理想を語っていた先王陛下に対し、マクウス陛下は現状を理解した上で実現可能な意見を出してくれる。難しいことは任せると私に丸投げではなく、拙くても案を考え、ともにより良い道を探ろうとしてくれた。  もし先王陛下が真っ先にこの国を私へ託すことを口にしてくれていたなら、陛下との執政に幸せを覚え、この命をすべて国の発展と民の幸せのために捧げていただろう。  少しのズレが、私を滅びの道へと導いてしまった。  そして陛下の手腕に一目置きながら、私の望みは変わることがなかった。  先王陛下とともに築き上げたものを何もかも壊してしまいたい。  皮肉にも陛下がイメルドを手放して執政に力を入れるほど、私が自由に動ける時間が増え、密やかに他国と通じることがしやすくなった。  この国が壊れてしまうまで、あと二、三年。  その日を迎えた時、私はどれだけの者を道連れにできるだろうか?  考えるだけで気分は高揚し、楽しみで仕方がなかった。  何もかも壊せる。一番壊したかったこの命も。  きっと私に心酔する彼は望んでいないのだろうけれど。  私は自分の衝動を抑えることはできなかった。

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