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第31-1話●望みは同じ

「……今さら、ですか……」 「不服ですか? ならば――ン……っ……」  彼に勢いよく唇を奪われ、私の突き放す言葉が殺される。  知り尽くされてしまった体は荒々しく口内を弄る彼の舌に歓喜し、力を消して受け入れる準備を始めてしまう。  押し倒され、いつになく乱雑に体を剥かれ、愛撫もそこそこに中を指で暴かれていく。  性急な行為に体は嫌がるどころか、昂って悦びを覚えてしまう。彼からここまで熱烈に求められることが嬉しくてたまらない。  このまま繋がり、激情のまま抱かれるのかと思ったが――中ほどの所を解され、体が素直に跳ねてしまうようになったところで彼の指が止まった。 「エケミル様……体が俺を欲しがっていますよ? 貴方が俺を置いていこうとなさるなら、一刻も俺から離れ難い体にして差し上げましょう」 「……ぅ……無駄ですよ。疼いたままにされるなら、他の者を招けばいいだけ……はっ……」 「もう俺しか知らないのに? 俺ほど貴方の好い所を知り尽くした者はいないのに……こうしながら耳をかじられると、我慢できるに達してしまうなんて、俺しか知らないんですよ?」  指の腹で私の中を押し揉みながら熱く囁くと、彼が息をかけながら甘く耳をかじる。  刹那、すべての感覚が体の奥へと集まり、淫らに弾ける。

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