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第32-4話足掻き

       誰がこうなることを予測しただろう。  籠城戦を始めてから何日か経った日の夜。  屋敷へ戻っていた私の元に少数の兵が攻め込んできた。  襲撃の可能性ならば十分にあると読んでいた。  ――まさか後宮へ立て籠もっている陛下が精鋭を率いて現れるとは……。  襲撃者の報告をしてくれたのは彼だった。 「エケミル様、敵襲です! マクウス陛下が兵を率いて現れました……我々で返り討ちにしますので、どうかエケミル様は屋敷の尖塔へお逃げ下さい!」  寝所へ駆け込んできた彼を見れば、いつになく焦りの色が出ている。  きっと人数はそう多くはないはず。しかし籠城戦に耐えるだけの力を持った兵を連れての襲撃。雇った私兵と比べれば戦いの練度が大きく違う。  何も手を打たなければ、こちらがすぐに不利となり、陛下の刃が私に届くだろう。  この命、今さら惜しいとは思わない。しかし陛下に生き延びられてしまうのは困る。国は三国の襲撃で縮小するだろうが、王が生き残れば滅ぶまでには至らない。  王を討ち取らなければ、予定と違うからと三国の動きは止まるはず。  無駄死にすることになるのは面白くない。命を散らすならば、望みを果たして散りたい。

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