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第33-2話決着
私の心が壊れる前まで、切実に求めていた先王陛下からの熱。
……やはり血の繋がりは強い。顔は私の愛しい彼のほうが似ているというのに、眼差しと国に対しての想いはマクウス陛下のほうが似ている。
そして以前は切実に欲していたものなのに、体はまったく疼かない。
湧き上がってくるのは純粋な嬉しさだけ。
胸に甘さが宿り、陛下のすべてを欲したいとは思わない。
やはり私の身と心はもう、すべて彼に奪われている。
強くそのことを実感しながら、私は戯れに陛下と賭けをした。
次にこの部屋へ入ってくるのは誰か、という賭け。
陛下とともに屋敷へ攻め込んできた兵士の誰かかもしれない。
もしくは私の彼が、私の無事を確かめにやってくるかもしれない。
陛下はしばし考えて答えてくれた。
ここには来ていないはずの者を――イメルドが来ると断言された。
あり得ないと思う私へ陛下は言い切られた。
「猛火の獅子は必ず私の元へたどり着く。誰がなんと言おうと、絶対に――」
ずっと育み続けた確かな絆と想い。
その希望は扉が開くとともに現れた。
「陛下……っ!」
息を切らし、汗だくになりながらイメルドが部屋へ駆け込む。
本当に来るなんて……と驚かずにはいられなかった。
そして同時に私は気づいてしまう。イメルドがここに来たということは、命を賭してまで強さを宿した私の彼を倒したということ。
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