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第33-3話決着

 私を捕えようとイメルドの手が伸びてくる。 「さあ、陛下を返してもらうか。そしてこの国も陛下に――」 「お返ししますよ。何もかも……でも、彼だけは返して頂きます」  腕を掴まれた瞬間に私はイメルドの足を払う。  隙を突かれたことと激戦の疲れが重なり、いつもなら揺らがないであろうイメルドの手が緩む。  私は床を蹴り、尖塔の小部屋から飛び出す。  螺旋状の階段を降りていき、尖塔と屋敷を繋ぐ渡り廊下へ出た直後。黒い塊が横たわっていることに気づいて私は駆け寄る。  尖塔の窓から飛び降りたのか、私を逃がすまいとイメルドと陛下が渡り廊下の前に立っていたが、一切気にはならなかった。  しゃがみ込んで彼を覗き込めば、小さく唸る声が聞こえてくる。まだ命が残っていることにホッとして、私の顔が緩んだ。 「大丈夫ですか?……私のためにその身を犠牲にして……馬鹿な子ですね」  黒衣越しに彼の頭を撫でてやると、ピクリとその身を動かそうとしてくる。  これなら私の望みを叶えてくれる。そして彼自身の望みも――。 「もう終わりましたよ。だから……私を奪い、貴方のものにしなさい」

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