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第10話※

「ただいま戻りました、ナナト」  あれから二日後の夜、ヨゾラは帰宅した。リビングではナナトが顔を上げようともせず、スマホを触っている。 「……ナナト?」  いつもなら笑顔で出迎えるはずのナナトは黙ったまま、スマホから目を離さない。 「ヨゾラ」  掠れた声でナナトはヨゾラを呼ぶ。 「はい」 「お泊まり会、楽しかった?」 「ええ、とても」  ヨゾラはいつものように答える。  それを聞いてナナトは鼻で笑い、スマホの画面をヨゾラに見せた。 「ヨゾラは金貰って、オッさんとごはん食べてセックスして、とても楽しいんだ。俺、知らなかった」  ヨゾラは途端に顔をこわばらせる。  憔悴しきった顔のナナトが差し出したスマホの画面には、男とホテルに入るヨゾラの姿が写っていた。 「そんで帰ってからは俺とセックスしたいんだ。どんだけ淫乱なの」  ナナトの呆れと、侮蔑を込めた冷ややかな瞳には、怒りの炎が渦巻いている。 「もういらないよ、お前。ほら」  ナナトは、顔面蒼白で微動だにしないヨゾラにお金を投げつける。パラパラと紙幣が床に落ちた。 「あのオッさんみたいに金払うからさ、ヤらせてよ」 「……っつ!ナナト、やめっ……!!」 「ふぅん、すごいふわふわ。突っ込んだら気持ち良さそ」  ぐりぐりと遠慮なく指を挿入し、バラバラに動かす。  ヨゾラには服を脱ぎ、足を大きく開いて、膝裏を持つように言い、ナナトは足の間に体を滑り込ませていた。  ヨゾラは弁明も謝罪もしない。ただ淡々と、諦めたようにナナトの指示に従っている。  それがさらにナナトの加虐心を煽った。 「う、ふぅ、ん……やめて……ふ、っあ!」  それまで苦しげに呻いていたヨゾラが、急に高い声を上げて、身を捩る。 「お尻の穴で感じてんの? オッさんの調教の成果出てるじゃん。気持ちいいの? ここ」 「ひうっ!!」  ナナトが先程ヨゾラが声を上げた、少し膨らんだそこを押すと、また嬌声が上がる。  ヨゾラのペニスは勃ち上がり、先端からだらだらと雫をこぼしている。 「後ろしか触ってないのに、前勃たせてさぁ……この淫乱」 「ん、ふっ、あ……あっ、ん゛ん゛!!」  しこりを強く押しながら、触り合いでいつもカナトが気持ちいいと言っていたペニスの括れに指を引っ掛けてやると、ヨゾラは呆気なく精を放つ。  勢いよく放たれたそれは、当然足の間にいるナナトの顔や服に降り注ぐ。  ナナトはヨゾラの後孔から指を引き抜いて、舌打ちをする。 「は? 何勝手にイってんの? 汚れたから舐めろ」  ヨゾラはおずおずとナナトに向き合うと、何の感情も浮かんでいない、ナナトの顔にかかった自身の白濁に舌を這わせた。  顔の精液を舐め取り、首筋にかかったものを舐め、鎖骨の白濁を舐める。  骨張った鎖骨はしっかりとしていて、舌を這わせるたびにヨゾラは欲を掻き立てられ、無意識に腰を揺らす。 「今度は鎖骨に興奮してんの? どうしようもないな、お前」  見透かされてなじられる。ヨゾラは居た堪れなくなり、鎖骨から口を離す。  ナナトはそんなヨゾラを見て鼻で笑った後、ヨゾラを床に押し倒す。ジーンズの前を寛げ、ペニスを取り出す。  身長に見合ったサイズのそれは、ヨゾラの痴態にそそり勃っていた。

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