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第11話※
「顔、見たくないから後ろ向いて腰を上げて」
ヨゾラは言われた通り、四つん這いになり、腰を高く上げる。
後孔にペニスの先端が触れ、次の瞬間、ナナトはそのまま一気にペニスを突き入れた。
「……!! あっ、あ゛あ゛っ!!」
「あー、気持ち」
そのまま前に逃げようとするヨゾラの腰を掴み、遠慮なく突き上げる。
ばちゅ、ばちゅと空気が弾ける音と濡れた音が部屋に響く。
「あっ、あっ……ん、ん!」
突き上げられるたびに、だらしなく開いた口から唾液と喘ぎ声が溢れる。
滅多に届く事のない奥が長大なペニスで激しく突かれたせいで、精液を出す事なく、何度も中で感じてしまい、頭が真っ白になる。
「中うねってるよ、イってんの?」
後ろから嘲るような声が聞こえてくる。
「ふぅ、う……!あっ、あっ!」
「喘いでないで答えろよ」
ナナトはバシッと臀部を加減せずに叩く。じんとした痛みにヨゾラの体が震える。
「いたっ、あっ……、は、あ……は、イって、あ゛っ! イって゛ますっ……ん゛、ああっ!」
「俺とオッさんの、どっちが気持ちいい?」
「な、ナナトの、ナナトの方が、奥、に届いてっ、気持ち、いい、です……ああっ!!」
突き上げる動きがぐりぐりと奥に擦り付けるような動きに変わり、新たな刺激にヨゾラは体を震わせる。
「どうせ、オッさんの時はオッさんの方が気持ちいいですって言ってんだろ、お前」
「ち、違いま……!!ん゛、ふ、あぁ、あ゛っ……!」
急に律動が激しくなって、ヨゾラはただ揺さぶられるだけになる。
「は、イく……出すからこぼすなよ」
「ん……んん゛!! あ゛ああっ!!」
どくどくと熱い奔流が後孔の奥に注ぎ込まれる。
その感覚を中全体で感じてしまい、ヨゾラは身を震わせる。
ナナトは大きく息を吐いた後、自身を引き抜く。
ヨゾラは言われた通り力を入れて、後孔から精液が出てくるのを必死で堪えている。
震え、無意識に揺れる臀部はまるで誘っているようで。
ナナトは苛立ち混じりに思い切り臀部を叩き、尻肉を左右に開いて、後孔を晒す。
「ひっ!! あ、あ、……や゛っ! あっ、やっ、だ、出ちゃう……! 出ちゃうう……あ゛……!!」
ぷしっと大量の精液が後孔から吹き出す。
いつも優しくて、微笑みを崩さないカナトが後孔を晒し、はしたない姿で喘いでいる。
精液に塗れた穴はひくひくと収縮しながら、断続的に精液を垂れ流している。
「はぁ……えっろ」
ナナトは赤く跡がついたヨゾラの腰を再び掴む。
「……!? ナナト、何を……んん!!」
本能のままに腰を動かす。精液で滑りの良くなった中はぐちゃぐちゃと音を立ててナナトに深い快感を与える。
「や、も、やだ……や、め……!!」
揺さぶられながらも、ヨゾラがやめるように訴えるが、ナナトは目の前の快楽を追うのに必死だった。
――ああ、こんなに気持ちいい事だったら。
――もっと早く自分の物にしてしまえば良かった。
――俺だけのヨゾラが欲しかったのに。
ただ怒りと悲しみをぶつけるだけの行為は、いつまでも続いた。
「ん…………」
ナナトが目を覚ますと、そこにヨゾラはいなかった。
書き置きも何もなく、ただ忽然といなくなっていた。
ヨゾラに投げつけた紙幣が冷たい床に落ちたままになっている。
――もう何もかも、終わったんだ。
時計を見るとすでに昼を過ぎている。
ナナトは味気のない食事を取り、バイトの準備をして部屋を出た。
まだまだバイトの始業には早かったが、あの部屋にこれ以上いたくなかった。
夏の暑さが残る日差しに目を細めながら、ナナトはふいにポケットに入っていたマスコットを思い出し、取り出す。
ナナトはしばらくそれを見つめた後、ゴミ箱に投げ入れた。
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