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第20話※
「は、ぁ……ん、んっ」
堪えるような甘い吐息がナナトの耳に届く。帰ってきてから電気をつけたまま、しばらく寝てしまったようだ。
うっすら目を開けると、黒い頭が見えた。
「……ん、ヨゾラ?」
ペロリ。
返事はなく、代わりに手首に濡れた感触がして、暖かく湿ったものが皮膚の上を何度も滑る。
手首の硬い骨に軽く歯が当てられ、ぷちゅり、と音を立てて唇が離れていく。
そして今度は鎖骨に生暖かい感触がする。
「こら、ヨゾラ……舐めちゃダメだって」
ヨゾラは鎖骨に舌を這わせながら、ナナトの太ももに硬いものを擦りつける。
「……ん、んんっ!!」
鎖骨を口に含んだまま、ヨゾラはビクリと体を震わせた。
ナナトの太ももにじわりと暖かく濡れる感触が広がる。
「……ヨゾラ。何してんの」
少し咎めるような声で言うと、ようやくヨゾラがのそりと顔を上げる。
トロリと溶けた眦に、唾液でベトベトの口元。ホテルで貰ったバスローブは脱ぎ捨てられていて、白い肌はほんのり色づいている。
「……ナナト」
ヨゾラが口を開く。随分と久しぶりにナナトはヨゾラの声を聞いた。
「……うん」
「頭、ふわふわして。ナナト、僕。体が暑くて、気持ち悪い? 気持ちいいです? 貴方の、体、あは、どうして。貴方がいるんですか、ああ、ナナト」
取り止めのない単語がヨゾラの口からこぼれ出る。
「僕、イきたいんです。ここは、どこ? ナナトの、いえ、叔父さんが? あれ、どうして、気持ちよく、なりたい、ナナト、やめて、やめないで、ナナト、ナナト」
壊れたラジオのようにヨゾラはしゃべり続ける。
ナナトはそっとヨゾラを抱きしめて、頭を撫でて耳元で囁く。
「ヨゾラ、しんどいね。いいよ、気持ちよくしてあげる」
「ぎぃっ……! あ、あっ、あ゛あ゛……!!」
獣の雄叫びのような声がヨゾラの喉から搾り出される。
「きもち? ヨゾラ」
ヨゾラの後ろからぐりぐりと奥を潰すように深く突き入れる。
ヨゾラが目覚めてから一日と半日。
ナナトは休憩を挟みつつ、ずっとヨゾラを抱いていた。
ヨゾラが疲れて寝落ちたら、ぱっとごはんを食べてナナトも寝る、ヨゾラが起きたら水分補給させてセックス。ひたすらそれを繰り返した。
横に寝たまま挿入する後側位で、できるだけヨゾラの負担を減らそうとしているが、自然とヨゾラを抱きしめる形になって、ナナトはつい興奮してしまう。
ヨゾラの首筋に舌を這わせ、甘噛みをするとそれだけで達してしまったのか、ヨゾラの体が震える。
「あー、中でイっちゃってるね、ヨゾラ」
絶頂の余韻で震えるヨゾラの胸の先をつまみ、ぐりっと強めに捻りながら、ナナトは引いた腰を突き入れる。
「あうぅぅ……!! あ、がっ……!!」
ぴっ、とヨゾラのペニスから精液が出るが、ごく少量。
「さすがにもう出ないか。どう? 落ち着いてきた?」
「…………!!」
深い絶頂に達しているのだろう、返事はなく、眉を寄せて苦しそうにさえ見える。
「ヨゾラ、一回抜くよ。休憩して水分補給しよ」
ずるりと後孔から抜ける感触に、ヨゾラは背中を反って、ぷしゃりと潮を吹く。
ナナトは冷蔵庫に入っている経口補水液を取り出し、布団に戻る。
息も絶え絶えなヨゾラを抱き上げて、飲み口をあてがうが、ボタボタと口からこぼれ落ちる。
「ヨゾラ、飲んで」
経口補水液を自分の口に含み、ヨゾラの顎を掴んで口を開かせる。口移しで飲ませ、ごくりと喉が動くまで口を離さない。何度か繰り返して、こまめに水分を与える。
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