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括り紮げる 7
そう思っていた時に、珀英がメールを寄越して来た。
毎日毎日、おはようとかお休みとか好きとか淋しいとか愛してるとか、うるさいメールが届いていた。
またそんなメールだろうと思っていたら、休み取ったからこっちに来るというメールだった。
会いたい、会いたい、抱きたい、キスしたい、触れたい、死にそうって嘯(うそぶ)くメールだった。
あいつ本当に・・・オレがいないとダメなんだな・・・。
思わずくすりと、笑っていた。
オレはこっちの到着時間とか細かいことを聞いて、来たきゃ来ればいいって素っ気なく返事をした。
本当は嬉しいのに、心底嬉しいのに、そんなことはおくびにも出さない。
珀英は絶対行くから待ってて欲しいと、何度もメールを寄越した。
珀英がこうして、オレをオレだけを欲してくれることが、嬉しくて。
もっともっと、頭がおかしくなるくらい、オレを求めて欲しいと、思ってしまっている。
そんなことを思っていても、オレは絶対に珀英にそんなことは言わないから、適当にあしらうメールを送りながらも、珀英が来るのを楽しみにしていた。
珀英がオレに会いたくて気が狂いそうなのと同じように、オレだって珀英に会いたかった。
一緒にいるのが当たり前になっているから、だんだん側にアイツがいないことに違和感と苛立(いらだ)ちを感じていた。
イギリスに来る前はこんな風に思うなんて、思ってもいなかったのにな。
2ヶ月なんてあっという間だと、思っていた。
気付いたら時間が過ぎてて、仕事こなして、日本に帰ってアイツの待つ家に帰るだけって、思ってた。
なのに、2ヶ月は思ったよりも長かった。
やっぱり、思い出してしまう。
会いたいと思ってしまう。
あーーーあ・・・美波よりも珀英に会いたいって・・・どんだけ父親失格なんだよ・・・。
ちょっと自己嫌悪に陥(おちい)る。
こっちに来る前にも、もちろん美波にも連絡はしていた。
イタリアとイギリスならそんなに遠くないから、会いに来てくれるかなとか、会いに行ってもいいかなって思ってたけど、忙しいから行けないし来るなって言われてしまった。
まだ小学生なのに忙しいって何?!って思いながら、強く言えなかった。
無理やり会いに行って嫌われたくもないし・・・思春期の女の子は全然わからない・・・。
そんなことを思っていた矢先に、珀英からこのメールが来た。
正直嬉しかった。
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