7 / 36

括り紮げる 7

そう思っていた時に、珀英がメールを寄越して来た。 毎日毎日、おはようとかお休みとか好きとか淋しいとか愛してるとか、うるさいメールが届いていた。 またそんなメールだろうと思っていたら、休み取ったからこっちに来るというメールだった。 会いたい、会いたい、抱きたい、キスしたい、触れたい、死にそうって嘯(うそぶ)くメールだった。 あいつ本当に・・・オレがいないとダメなんだな・・・。 思わずくすりと、笑っていた。 オレはこっちの到着時間とか細かいことを聞いて、来たきゃ来ればいいって素っ気なく返事をした。 本当は嬉しいのに、心底嬉しいのに、そんなことはおくびにも出さない。 珀英は絶対行くから待ってて欲しいと、何度もメールを寄越した。 珀英がこうして、オレをオレだけを欲してくれることが、嬉しくて。 もっともっと、頭がおかしくなるくらい、オレを求めて欲しいと、思ってしまっている。 そんなことを思っていても、オレは絶対に珀英にそんなことは言わないから、適当にあしらうメールを送りながらも、珀英が来るのを楽しみにしていた。 珀英がオレに会いたくて気が狂いそうなのと同じように、オレだって珀英に会いたかった。 一緒にいるのが当たり前になっているから、だんだん側にアイツがいないことに違和感と苛立(いらだ)ちを感じていた。 イギリスに来る前はこんな風に思うなんて、思ってもいなかったのにな。 2ヶ月なんてあっという間だと、思っていた。 気付いたら時間が過ぎてて、仕事こなして、日本に帰ってアイツの待つ家に帰るだけって、思ってた。 なのに、2ヶ月は思ったよりも長かった。 やっぱり、思い出してしまう。 会いたいと思ってしまう。 あーーーあ・・・美波よりも珀英に会いたいって・・・どんだけ父親失格なんだよ・・・。 ちょっと自己嫌悪に陥(おちい)る。 こっちに来る前にも、もちろん美波にも連絡はしていた。 イタリアとイギリスならそんなに遠くないから、会いに来てくれるかなとか、会いに行ってもいいかなって思ってたけど、忙しいから行けないし来るなって言われてしまった。 まだ小学生なのに忙しいって何?!って思いながら、強く言えなかった。 無理やり会いに行って嫌われたくもないし・・・思春期の女の子は全然わからない・・・。 そんなことを思っていた矢先に、珀英からこのメールが来た。 正直嬉しかった。

ともだちにシェアしよう!