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括り紮げる 10
珀英が急にオレをお姫様抱っこした。
「はくえぃ・・・」
「今のは緋音さんが悪い」
「え・・・」
「そんなことしたら、もっと色々したくなるでしょ」
珀英はオレの体を軽々と抱き上げると、そのままリビングの横にある寝室に向かう。
この後何をされるか、充分わかっていた。わかっていて、期待して。
それを望んでいた。
寝室の前に来ると、オレはドアノブを回してドアを開けた。珀英はそのまま寝室に入ると、ベットにオレを寝かせてそのまま深く口吻ける。
オレは珀英の頭を掴んで引き寄せて、今まで我慢してきた分、しつこく舌を搦(から)めて、キスをせがんだ。
珀英はオレの着ているセーターを捲(まく)り上げて、胸とか腰とか腹筋を撫ぜられる。
じりじりと体が熱くなってくる。
早く、早く、珀英に全部、全部めちゃくちゃに犯されたい。
珀英の長い舌が首筋を舐めて、鎖骨を舐めて、オレの小さな乳首を舐めると、きゅっ・・・と口唇で摘(つま)んだ。
「っっんん・・・はぁっっ」
思わず声を漏らすと、嬉しそうに愉しそうに笑いながら、口吻けをしてオレの舌を搦めて、搦めとって、強く吸う。
このまま心まで喰われそうなほどの、深い、口吻け。
こうして、口吻(キス)がしたかった。
珀英に触れて欲しかった。
珀英に『好き』だと『愛してる』と言われたかった。
獣(けだもの)になった珀英に、犯されたかった。
*
起きたら腕の中に緋音さんがいた。
それが当たり前だった生活だったけど、この2週間くらい緋音さんがいなかったから、淋しくて哀しかった。
今は、起きたら緋音さんがいた。
ああ・・・そうだ。ロンドンまで追いかけてきたんだっけ。
昨日飛行機に乗って飛んできて、仕事から帰ってきた緋音さんを、何度も何度も貫いて、おかしいくらい抱いたことを思い出した。
疲れているってわかってたけど、欲望が止まらなかった。
もうできないって喘(あえ)ぐ緋音さんを、無理に組み敷いて、突っ込んで掻(か)き回した。
本気で抵抗されたら諦めたけど、緋音さんは最後まで抵抗らしい抵抗をせずにオレを受け入れてくれた。
さすがに3回目の時は泣いちゃったけど。
少し高い声が掠(かす)れるまで喘いで、名前を呼んでくれる。
嬌声(きょうせい)をあげながらもっと奥に欲しいってねだってくる。
薄茶の瞳を涙で潤ませて、オレを誘うように見つめる。
夢にまで見た緋音さんが、オレの腕の中で、淫(みだ)らに濡れて最後は気絶した。
オレは真っ白な奇麗な体を丁寧に拭いて、緋音さんの甘い香りを嗅ぎながら抱きしめて、深い安堵(あんど)を感じながら寝た。
オレは今朝の緋音さんを思い出しながら、安らかな寝息を立てている緋音さんの額(ひたい)に、そっとキスをした。
長い睫毛(まつげ)が震えて、口唇が少し、微笑んだ。
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