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括り紮げる 11

オレは起こさないようにベットを抜け出すと、リビングへと出た。 スーツケースからタオルや着替えを出すと、教えてもらったシャワールームに行き、体を洗った。 きれいさっぱりしたところで、オレはキッチンに行き冷蔵庫の中を確認する。 予想通り、ビール数種類と水しか入ってなかった。 これじゃあろくなご飯食べてないな・・・わかってたけど。 キッチン周りを確認すると、基本的な調味料や油があることはわかった。鍋やフライパンなどの調理器具もあった。 恐らくこの部屋に備え付けで置いてあるものなのだろう。 緋音さんがわざわざ買うとは思えない。 オレは自分の財布を持って、緋音さんがソファに投げたコートのポケットから鍵を借りて、コート丁寧にたたんでから静かに家を出た。 時刻はとっくに昼をすぎているので、街中をビジネスマンや子連れの女性、学生らしい集団が大通りを行き交っていた。 ロンドンらしい曇り空の下、オレは緋音さんのアパートまで行く間に見つけたスーパーマーケットに向かって歩いた。 日本人離れした長身だけど、こっちでは珍しくないため、誰もオレに注意を向ける人はいなかった。 長い金髪も、サングラスをかけていても、白いTシャツにジーパンにコートという簡単な格好で街を歩いていても、誰に気にかけない。 日本だったらニートか変質者かくらいの目で見られるのに、ここは気を使わなくていいから、すごく気楽だ。 オレはスーパーに入って、カゴを手に取ると、緋音さんの体調を考えた献立(こんだて)にするべく、まずは野菜売り場へ行く。 あとオレが帰った後に食べれるように、色々作って冷凍保存できる献立も考えなくては。 適当ににんじんやら玉ネギやらキャベツやらをカゴに入れていく。 小松菜っぽいのや、カブっぽいのや、色々手に取った。 とりあえずカレーは作ろう。 あとさすがの緋音さんでもパスタは茹でれるから、パスタソースは作って冷凍しよう。クリーム系とトマト系で何種類か作るか。 前に仕事が忙しくてどうしようもなく疲れていた時に、レトルトのソース使ったら、まずいって言って食べてくれなかったから、レトルトは使えない。 生クリームとトマトの缶詰をカゴに入れて、ひき肉や豚肉と鶏肉を入れる。 魚売り場に行くと、意外と日本でもよく見かける定番の魚が売られていたので、鮭やアジ、イワシと鯖をカゴに入れた。 水はキッチンの横にダンボールで置いてあったから、いいや。 その後も色々回って食材をカゴに入れて、そこそこの量になったのでレジに向かう。空港で両替はしておいたので、普通に現金で支払ってスーパーを後にする。 家に戻ると緋音さんはまだ寝ていた。

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