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括り紮げる 12
昨夜は結構無茶させたから、とりあえず起きるまで寝かせておこうと、声をかけずにキッチンに立つ。
これまた部屋に備え付けであった包丁で、料理を開始する。
まずは、起きてから緋音さんに食べさせるご飯を作らないと。
サラダを作るべくキャベツと玉ネギを千切りにする。玉ネギはボウルに入れて水にさらしておく。
卵と牛乳をといて、少しだけ砂糖を入れて卵液を作ると、食パンを浸しておく。本当はバゲットを使う料理だけど、緋音さんが食パンのほうが好きだから。
あとはベーコンエッグ焼いて、コーヒー淹(い)れればいいな・・・。
時計を見ると昼の2時になろうとしていた。そろそろ起こした方がいいかと悩んでいた矢先に、寝室のドアが開く音がした。
しばらくすると、今朝オレが脱いだ白いシャツを着て、まだ眠そうな顔をした緋音さんが現れた。
「おはよう・・・」
欠伸(あくび)をしながら口元に手を持っていく。
オレのシャツだから、だいぶサイズが大きいので袖(そで)が余っているのがわかる。
緋音さんには大きなシャツは、緋音さんの太腿の真ん中らへんまであって、裾(すそ)から伸びる、小さな膝が奇麗で、白くて少しふくらんでいるふくらはぎが、折れそうに細い足首が卑猥(ひわい)だ。
だからそういう格好しないでって・・・わざとなのか?
わざとなの?
まだ犯されたいってことでいいの?
オレは元気になりそうな色んな所を押さえ込んで、
「おはようございます・・・シャワー浴びます?」
と無理に微笑んで買って来たベーコンを切りながら、努めて冷静に話した。
緋音さんは眠そうに寝癖のついた髪をかき上げて、欠伸をしながら、白い細い人差し指で紅い口唇をなぞった。
「うん・・・浴びて来る・・・」
「はい」
無意識にする仕草がエロいって、自覚してないんだろうな・・・。
本当にあういうの、オレ以外の前でやらないで欲しい。
溜息をつきながらオレは寝室に行って、クローゼットを開けると、緋音さんの着替えを用意してシャワールームの扉の横にある棚に置いておいた。
さて、緋音さんが出て来る前にご飯を作らないと。
食卓にサラダをベーコンエッグとフレンチトーストを並べ終えた時に、ちょうど緋音さんがシャワーから出てきた。
濡れた髪をタオルで拭(ふ)きながら、白い頬を少し上気させて、オレが用意したネイビーのセーターと黒いスラックスを着ている。
オレがいる時はこうしてご飯も着替えも、掃除も洗濯もやるけど、一人の時はどうしているのか不安になってくる。
「コーヒーでいいですか?」
「うん」
当たり前のようにイスに座って、スマホ見ながらコーヒーが出て来るのを待っている。
伏せた長い睫毛(まつげ)が、女神の彫刻のように整った、その横顔が愛おしい。
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