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第13話 二人のなれ初め②
オレは翔多に恋愛感情を持ってる……。
もしかしたら一生気づかないまま、知らないままで、終わったかもしれない気持ち、恋心に……気づいてしまった。
もう知らなかった頃の自分には戻れない。
時間は過去へは決して戻らない。気づいてしまった恋慕の思いは、ずっと浩貴の心にとどまり続ける。
いったいいつから、翔多への思いが友情から恋へと変わっていたのか、それは浩貴本人にも分からなかった。
でも、切ないほどの恋心を翔多へ抱いているのは真実で……。
「……翔多、オレ、おまえが好きだ」
「浩貴……?」
「今、気づいた。友達としてじゃなくて、その、おまえに……恋してる」
「…………!」
あまりにも突然すぎる告白に、翔多が息を呑むのが伝わってくる。
「ほんとにいきなり、ごめん……。でも、オレ、真剣だから」
「浩貴……」
いつも能天気な翔多も、さすがに困惑を隠せないでいる。
流れのままに押し倒してしまったが、翔多の気持ちも分からないのに、次の行為に及ぶことなどできるはずがない。
浩貴は翔多の手を引いて起こしてやった。
そして、親友からの愛の告白に、ただただ困惑している翔多を残して、浩貴は彼の部屋から逃げるように出て行った。
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