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第17話 思いが通じる夜②

 浩貴はにわかには信じられなかった。  翔多もオレと同じ思いでいてくれた? 「男同士なのに、キスされても、ちっとも嫌じゃなかった。当たり前だよね。オレも浩貴にキスしたかったんだから。……でね、そのあと浩貴に好きだって言われて、気づいたんだ。オレも浩貴が好きなんだって。ずっと好きだったんだって……」 「翔多、それって……」  浩貴の胸の鼓動が痛いほど高鳴っている。ドキドキと激しく跳ねる音が、翔多にまで聞こえてしまいそうだ。 「……オレがおまえに言った、『好き』と同じ意味の好き、だって思っていいのか?」  浩貴が問うと、翔多は真っ赤になってうなずいた。 「翔多っ……」  うれしさと愛しさに任せて、翔多を強く抱きしめた。 「でもさすがに押し倒されたときは、びっくりしたよー。どうしようーって思っちゃった」  両腕を浩貴の背中に回してきながら、翔多がはにかんだように笑う。 「……オレ、もう絶対フラれたって思ってた。だって翔多、まったくなにもなかったような顔してんだもん。あんなこと忘れてしまいたいんだなって」 「オレとしても色々悩んでたんだよ? これでも。この三日間で普段使っていない頭をどれだけ酷使したことか。……どういうふうに浩貴と接すればいいのか分からなくて。ずっと親友だったから好きっていうの、すごく勇気がいったんだ。ごめんね」  そんなことを言う翔多がかわいくて、愛おしくて、浩貴は彼を抱きしめる腕に力を込めた。 「このことは二人だけの秘密だね、浩貴」   腕の中で翔多が小さな声で言う。 「ああ、そうだな」  二人だけの秘密、なんて愛しい言葉だろう。 「それにまず、ミカコのいじめ問題をなんとかしなきゃね」 「うん。それが解決するまでは、楽しくデートってわけにはいかないしな」  浩貴も同じ考えだった。  すると翔多が、なんともそそられる上目使いとともに呟いた。 「でもさ、思いが通じ合った記念の夜だから……、ちょっとだけならいいよね?」  そして、浩貴の唇にちゅっとかわいいキスをしてくれた。 「翔多……」  浩貴のほうも我慢ができなくなって、今度は浩貴が翔多の唇を奪う。  ――この夜、思いが通じ合い、二人の関係は親友から恋人へと大きく変化したのだった。……。

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