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第27話 お日様の彼と、幼馴染の視線
「んー、そうだねー、浩貴の家かな。オレのところには参考書とかってほとんどないし。数学に至っては一冊もない!」
「自慢することかよ。まあオレも似たようなもんだけど、翔多よりはまだマシかもな。じゃ、帰りにコンビニで食料調達して、がんばってやろうか」
「やだー、がんばって、ヤる……なーんて、浩貴ってばヤラシイー。もーエッチー」
ニマニマと笑いながらそんな冗談を言ってくる翔多。
……こいつは……。オレがそのテの衝動を必死に抑えているというのに……。
「……分かった。宿題はおまえ一人でやれ」
「あっ、うそうそ。ごめん。ごめんなさーい。ねー、浩貴くーん、浩貴王子さまー」
「まったく……」
浩貴は苦笑した。
翔多と話しているうちに、曇った心はきれいに晴れていた。
翔多というお日様が、曇り空を追い払ってくれたのだった。
*
仲良くじゃれ合う彼らを、ミカコが友だちとおしゃべりをしながらも時折、ジッと盗み見ていた。……その瞳に昏いなにかをひそませて。
幼馴染のそんな視線に、浩貴が気づくことはなかった……。
*
水曜日の午後、約束通りミカコが浩貴の自宅へやってきた。
父親は勿論、弟もまだ帰っていなかったので、取りあえずリビングへ通してオレンジジュースを出す。
放課後、学食で翔多と一緒に昼食をとっているとき、このあとミカコの相談事を聞くことになっていると話したら、翔多はなぜか急に不機嫌になり、一人でさっさと帰ってしまった。
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