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第31話 それは優しさか優柔不断か②

 翔多の態度がなんとなく投げやりで、いつになく険のある表情をしているように見えるのは、それだけ翔多もショックを受けているということなのだろうか?  いつもの彼らしくない様子に、内心首を傾げながらも、浩貴は話を続ける。 「だからさ、来月の精密検査の結果が出るまで不安だから、傍にいて欲しいんだって、オレたちに」 「それは嘘でしょ」  翔多がびっくりするくらい冷たい声で、否定した。 「ミカコが傍にいて欲しいって言ったのは、オレたちに、じゃなくって、浩貴に、だろ?」 「…………」 「それに……」  翔多はドキリとするほど強いまなざしで、浩貴を見る。 「ミカコはこのこと、オレには話して欲しくなかったんじゃないの?」 「え……」 「まあ、当然だよね。浩貴とミカコは、小さな頃からずっと一緒に大きくなってきたんだもん。彼女が浩貴を頼りにするのは当たり前だと思うよ。いいよ。ミカコの不安がなくなるまで、傍にいてあげれば?」  翔多は頭を心持ち右に傾け、目を閉じて溜息をついた。  今日の翔多はどこか変で、浩貴は戸惑いを覚える。 「……うん。それでさ、これから少しのあいだだけど、二人きりで会う時間が減っちゃうかもしれな――」 「ミカコのほうが大切だから?」  翔多が浩貴の言葉を遮った。

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