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第47話 嘘だと言って②
浩貴が病院に着いたとき、翔多の伯父さんと伯母さんは一足先に来ていた。
「おじさん! おばさん!」
「ああ……、浩貴くん……」
駆け寄っていくと、おばさんは目に涙をいっぱいに溜めて、浩貴を見た。
「翔多は!? 翔多はどこに!?」
「ついさっき看護師さんが来て、教えてくれたんだけど、今はあそこで治療を受けているらしい」
おじさんがそう言って、集中治療室を示す。
翔多……!!
心の中で祈るように愛しい人の名前を呼びながら、浩貴はそこを見つめた。
「翔多の父親と母親も、今こちらへ向かってる。二人とも日曜日だっていうのに仕事で遠くに出てて、ここに来るまでにはまだちょっと時間がかかるみたいなんだ」
「そうですか……」
翔多の伯父さんとそんな会話を交わしたきり、三人とも黙り込んだ。
休日とはいえ救急病院である。
サイレンを鳴らして次から次へと救急車が到着する。
その様子は否応なしに不安を増大させた。
どれくらいの時間、不安で壊れてしまいそうな心を抱えて耐えていただろうか。
不意に集中治療室のドアが開き、一人の男性医師が出てきた。
駆け寄る浩貴たちを医師は別室へと促す。
面談室というプレートがかけられた部屋へ入ると、テーブルを挟んだ奥の席を浩貴たちに勧め、医師は三人の向かいの席に座った。
四十代後半くらいだろうか、知的な目をした医師は、感情を押し殺したような声でゆっくりと翔多の様子を話し始めた。
「私たちのもとへ最初に連絡が入ったときは、翔多くんは車に撥ねられたということでしたが、あとで徐々に分かってきたところによると、翔多くんは撥ねられる寸前に身をかわして、衣服を車に引っかけられ、地面に叩きつけられたということのようです。車はとんでもないスピードを出していたそうですから、撥ねられていれば、おそらく即死だったでしょう」
医師の言葉は浩貴を震え上がらせた。
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