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第49話 眠れる彼
浩貴たちが面談室を出ると、ちょうど翔多の両親が到着したところだった。
おじさんが妹と義弟に翔多の怪我の状態と、意識が戻らないということを告げる。
両親は怪我が比較的軽かったことには、ホッとした様子を見せたが、意識が戻っていないと聞いて、顔を曇らせた。
……でも、みんな信じていたのだ。今夜には、明日の朝には、翔多は意識を取り戻すことを。
大きな瞳をぱっちり開けてくれることを。
信じていたし、信じたかった。けれど……。
翌朝になっても、翔多の意識は戻らなかった。
翔多は集中治療室から一般病棟の個室に移されても、意識が戻らないままだった。
事故の日から既に十日が経っていた。
ベッドに横たわった彼の腕に、栄養剤と抗生剤の点滴が規則正しく落ちていく。
浩貴はベッドの傍に椅子を引き寄せて、眠り続ける恋人を見つめていた。
青白い、生気のない顔。
違う、と思う。翔多はこんなんじゃない、と。
翔多はいつもお日様みたいな笑顔でオレを笑わせ、和ませてくれる、そんなやつなのに。
「翔多……、目を覚ましてくれよ……。 お願いだから……」
オレが大好きな、あの大きな瞳を見せて……。
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