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第74話 美少女コンテストに向けて

 浩貴は自分の顔を翔多の顔へゆっくりと近づけていく。  そっと唇を合わせると、翔多が小さく身じろぎした。 「ん……」  小さな声とともに、まぶたがゆっくり開いていく。  眠たそうな目はまだ焦点を結ばず、しばらくぼんやりと浩貴をその大きな瞳に映しているだけだったが、徐々に意思の光が輝き始める。 「……えっ!? ひ、浩貴っ!?」  浩貴の顔があまりに近くにあったため、翔多がびっくりしている。 「おはよ……って言っても、もう十一時前だけどな」 「……おはよー。浩貴、いつの間に来たの? オレ全然気づかなかったよー」  眠そうに目を擦りながら翔多が呟く。その仕草と跳ねた髪がかわいい。 「おまえ、超熟睡してたもん。おばさんも言ってたぞ。今朝はなかなか起きてこないって」 「そう? うわー、オレ、十二時間以上寝たかもー」  最後のほうはあくび混じりで翔多が言う。  ……昨日はオレ、翔多にムチャしたからなー。疲れたんだろうな。  前日の激しい情交を思い浮かべると、浩貴の体はまた熱を持ち始めてしまう。  それをなんとか抑えつけ、 「ありがとう、翔多」  まずは言わなければいけないお礼の言葉を口にした。 「え? なにが?」 「だから……、美少女コンテストのことだよ。あれの賞品って、ゲーム機だったんだな」  ちょっと照れくさい気持ちでそう言うと、翔多はにんまりと笑った。 「なになになにー? 浩貴なんだかノリノリじゃん。賞品は優勝しなきゃもらえないんだよー」 「え? うん。まあそうなんだけどさ……」

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