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第75話 美少女コンテストに向けて②

「でも、だーいじょうぶ。浩貴ならきっと優勝できるよっ」 「それは……違うだろ」  優勝するとしたら、翔多、おまえのほうだと思うぞ、オレは。 「まー、とにかくがんばって二人で女装しようねっ」 「…………」  ゲーム機のためとはいえ、美少女コンテスト……女装する……。  改めて考えると、やはり複雑な気持ちは否めないが、まあ何事も経験っていうし。  それに翔多の美少女姿は見たいかも……、いや、かなり見たい。絶対見たい。  浩貴の心の中にそんな邪な思いが顔を出し始めた。  そのあと二人は伯父さん夫婦と一緒に昼食を食べ、午後は、浩貴がお土産に買ってきたショートケーキを食べながら、美少女コンテスト制覇に向けての対策を考えて過ごしたのだった。  美少女コンテスト当日の朝早く、浩貴と翔多はいつもの逢瀬の場所であるデラックス・ツインの部屋へチェックインした。美少女に変装するためだ。 「じゃ、オレはあっちの洗面所で準備するから、浩貴はここでして。んで用意ができたら声をかけ合おう」 「ああ。分かった」 「そいで、洗面所のドアを開けて、ごたいめーんだよ」  では健闘を祈るぞよ、などと言いながら、翔多は洗面所へ入っていった。  浩貴も腹をくくって、さてと、と持ってきた大きめの鞄を開ける。  口紅やアイシャドーなどの化粧品の数々は、昨日の午後、翔多と一緒に百均で揃えた。  洋服やウィッグは、翔多が、『演劇部の友だちに貸す』と言って伯母さんから借りてきたものだ。  サイズが合うかどうかが心配だったが、ゆったりしたデザインを選んであったことと、翔多の伯母さんが女性にしては背が高いこともあって、なんとかなりそうだ。

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