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第78話 緩いコンテストと結果

 少しナーバスな気持ちの浩貴だったが、会場の中へ入ってしまうと、肩の力が抜けた。  受付で名前を書いてエントリー番号をもらうのだが、二人は苗字は正直に書いたが、名前はそれぞれ浩子と翔子にした。  身分証明書の提出を求められることもなく、簡単に会場内へと進めたし、なんといっても会場内はすごかった。  確かに美少女だなーとうなずける子も割といたが、中には、「あのー、いったい何十年前に美少女だったんですか?」と聞きたくなるような女性も多くいて、そんな人がまたセーラー服を着ていたりするのだ。  当日の飛び入り参加も大歓迎らしく、どうやらかなり遊び心のある緩いコンテストみたいで、浩貴の気持ちはずいぶん楽になった。  それでも結構盛況のようで、割合大きめのホールの客席はほとんど埋まっている。  コンテストに参加する人たちも五十人以上いた。  ステージに司会の男性が出てきて、審査員の紹介を始める。  さすがの翔多も緊張しているらしく、浩貴の手をギュッと強く握ってきた。  美少女コンテストを終え、二人は興奮の心を抱え、女装姿のままでデラックス・ツインの部屋へ戻ってきた。  部屋の扉が閉まるやいなや、二人は手と手を合わせて、勝利の喝采を叫んだ。 「やったな! 翔多」 「浩貴こそっ」  コンテストの結果は、なんと翔多が優勝し、浩貴も審査員特別賞をもらうという、まるでマンガかテレビドラマのようにできすぎたものだった。  二人揃ってソファへ座り、燦然と輝く賞品を見る。優勝のゲーム機と審査員特別賞のスイーツ詰め合わせ。 「翔多、かわいいもんなー」 「あらー、浩貴だって綺麗よー」 「でもほんと、おまえしゃべらなければ、完璧な美少女。そこいらの女性アイドルが束になっても敵わないよ」  コンテストでは二人とも言葉を少なく、とにかく笑顔でごまかしたのだ。

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