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第79話 溺愛

「浩貴、褒めてくれるのはうれしいけど、どこ触ってるんだよ?」  浩貴は翔多の着ている白いワンピースの裾へ手を入れて、彼の太腿を撫でまわしていた。 「だってさ、なんかこういう格好のおまえ抱くのって、ちょっと萌えるっていうか……」  一応遠慮がちに浩貴がそう言うと、翔多は呆れたような顔で見てきた。 「浩貴ってば、変態っぽい――……っあ……」  浩貴が翔多の敏感なそれを握りこむと、翔多の声は一気に艶を帯びた。 「あっ……、やだってば、浩貴っ……、こんな格好で……」 「どうして? 気持ちよくない?」 「だって、……ん……、ワンピースなんか、着て……、オレ、女の子じゃないっ……」  翔多が喘ぎながら抵抗の言葉を口にした。  浩貴は小さく笑って、 「女の子にこんなもの、ついてるわけないだろ……? バカだな……」  右手の中の翔多を強く握った。 「……っあ……」  翔多が大きくのけ反り、ウイッグの栗色の髪が揺れる。 「おまえだから色々なことしたくなるんだよ……翔多。こんな格好しているのを見て、すげー興奮するのも、中身が翔多だから……」 「あっ……あっ……、でも、浩貴……」 「ん?」  翔多の耳朶を甘噛みしながら、浩貴が聞くと、彼は甘い吐息交じりの声で呟いた。 「女装してる浩貴に、エッチなことされると……、なんか、すごく変な、気持ちになっちゃうよ……」 「…………」  浩貴はようやくそのことに思い至った。自分もまた女性の格好をしていることに。  翔多の複雑で微妙な気持ちが理解できた浩貴は、翔多から体を離し、彼を抱き上げた。 「シャワー、浴びにいこ、翔多」

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