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第80話 入賞の理由
「うん。……ふふっ、やっぱり女装同士でエッチをするのは、浩貴も抵抗あるんだー」
「まあ……。翔多はかわいいけど、オレも女装姿っていうのはね。……でも、こんな格好の翔多を抱き上げると、本当にお姫様を抱っこしている気持ちになるな」
浩貴がにんまり笑うと、翔多は少し考えてから、応えた。
「オレは、女王様に抱っこされてる気分になっちゃう」
「……女王って」
二人だけの会話を楽しみ、じゃれ合いながら、バスルームへと向かった。
バスルームで二度、情交をして、二人は少々のぼせてしまい、バスローブ姿のままベッドへ寝ころんだ。
翔多がミネラルウオーターを飲みながら、ふと思い出したように口を開いた。
「結局、オレたちの女装、分かる人には分かってたみたいだね」
「ああ。うん、そうみたいだな」
コンテストの審査員の中に芸能プロダクションの男性がいたのだが、浩貴と翔多が賞品を手にそそくさと帰ろうとしたとき、こっそりと囁いてきたのだ。
『芸能界に興味はにないの? 君たちほど綺麗な男の子ならすぐに人気が出るよ』
そんなふうに。
「気づいてた人は気づいてて、そのうえで、『よく化けたね』っていう意味も含めて、賞を貰えたのかもしんないねー」
「ああ、うん。そうだな」
翔多の言葉に、浩貴も同意した。
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