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第95話 行動に出るライバル

 休日の朝八時過ぎ、朝食を食べ終えた翔多がまだパジャマ姿で歯を磨いていると、伯母さんが呼んだ。 「翔多ー、お友達が来てるわよー」 「えー? じゃれー?」  歯磨きで泡だらけの口で答えながら、翔多は考える。  今日、浩貴と会う約束はしているが、彼は朝が苦手で、休みの日は早くても九時過ぎにしか起きない。だいいち浩貴なら、伯母さんが浩貴だというはずだ。  だがしかし、他にこんな時間に訪ねてくる友達に心当たりはない。  ……ま、いいか。 「あぎゃって、もなっててー」  あがってもらっててと言ったつもりだったが、まだ口の中が歯磨き粉で泡泡だっただめ、変な言葉になってしまった。  口をゆすいで、顔を洗ってから、翔多が居間へ行くと、そこにはなぜか今里がいた。  伯母さん特製のフルーツジュースを飲みながら、すっかりくつろいでいる。 「え? 今里くん?」 「あ、翔多くん、おはよう」 「あ、うん。おはよ。……なんで、うちに?」  驚く翔多に今里はにっこり笑った。 「ここに来たら、きっと浩貴も来ると思ってさ。違う?」 「うん。確かに浩貴は来るけど。でも今里くん、どうしてオレの下宿先、知ってるの?」 「ああ、この前、ミカコのところへ行ったとき、教えてもらったんだ」 「……あー、そっか。……と、オレ着替えてくるから、ちょっと待っててね」  翔多は、自分がまだパジャマ姿で、髪も寝癖であっちこっちに跳ねたままだということに気づき、慌てて自分の部屋へ走って行った。

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