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第96話 ライバルはアメリカン
翔多は髪を整え、着替えると、自分も伯母さんにフルーツジュースをもらってから居間へ行った。
この家の居間は純和風で、大きめの和テーブルに趣味のいい色の座布団が置かれている。
翔多は今里の向かい側に座った。
「このジュース、すっごいおいしいね。手作りだよね?」
今里がそう言って、ジュースが入ったコップを持ち上げる。そういった何気ない仕草でさえどこかアメリカンだ。
「うん。いろんな果物が入ってて、砂糖はまったく入ってないんだよー。浩貴もね、このジュースが大好きなんだ」
ニコニコと楽しそうに笑う翔多に、今里が言葉を投げかける。
「翔多くんって、本当にかわいい顔してるねー」
「え? うーん。今里くん、男に、『かわいい』っていうのは、褒め言葉じゃないよ?」
苦笑する翔多に、今里は言い直した。
「それじゃ、すごい綺麗。美人だよね、翔多くんは」
「それも、なんだかなーって感じだけど……、でも、ありがとう」
翔多は苦笑を深めながらも、一応お礼の言葉を口にした。
「……でもさ、翔多くんもだけど、浩貴も高校二年にしては幼く見えるな。アメリカに行ったら、二人ともせいぜい中学生にしか見えないぜ?」
今里の言葉に翔多は思わず笑い出してしまった。
「え? なに? 翔多くん」
「だって今里くん、なんか親父くさいんだもん。自分だって同い年なのにさ」
キャラキャラと屈託なく笑う翔多。
「…………」
今里はどこか拍子抜けしたような顔で、翔多のことを見ている。
そのとき、外で自転車のとまる音がした。
「あ、浩貴、来たみたい」
翔多の瞳が輝きを増し、いそいそと居間を出て行った。
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