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第101話 深夜の電話

 その日の夜遅く、翔多の携帯に今里から電話がかかった。 《翔多くん、今度二人きりで会わない?》 「どうして? 浩貴も一緒じゃだめなの?」 《オレは翔多くんと二人で会いたいんだ》 「……だめ」 《どうして?》 「今里くんと二人だけで会う理由がないもん」 《オレ、翔多くんのこと好きになっちゃったんだよ。だから……》 「オレも今里くんのこと好きだよ? でもそれは二人で会う理由にはならないよ」 《あのさ、そういう『好き』じゃなくって。……ね、翔多くん、オレとエッチしない?》 「そういう冗談は、オレ好きじゃないよ」 《冗談なんかじゃないよ、本気だよ?》 「そういうことは愛し合っている人同士がすることでしょ?」 《ちょっとー、少女マンガのヒロインみたいなこと言わないでくれよ。愛がなくてもセックスはできるよ、特に男はね。だから翔多くん、オレと試してみない? 体の相性を》 「オレはそういうの無理だから」 《うっそだー。心と体は別物にできるよ。セックスフレンドっていう関係だってあるくらいだし》 「今里くんは、そういうの平気なんだ?」 《勿論。だからさ、翔多くん、オレとしようよ。浩貴には内緒で――》 「今里くんってかっこいいから、すごくモテるんだろうけど、誰かのことを本気で好きになったことないんじゃないかな? 多分。とにかくオレ……浩貴もだけど、そういう類の冗談は本当に好きじゃないから。じゃ、おやすみ」  そして翔多は電話を切り、通話の内容を頭の中から消去した。

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