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第103話 ライバルの目的は?②

「聞いてるよ、なに?」  浩貴がそう答えたとき、隣で翔多が目を覚ました。 《今日の午後、おまえんとこ行ったら、おじさんに翔多くんの家へ行ったって言われたから、今度は翔多くんのとこへ行ったら、浩貴と二人で遊びに行ったって言われてさー。なー、今どこ? 翔多くんもいるんだろ?》 「だからなんか用なのかよ?」 《ヒマなんだよ。なあ、今どこにいんの? オレもそこへ行くからさ》 「ごめん、今日はちょっと……」  浩貴が不快さをこらえて、やんわりと断りの言葉を口にすると、今里は少しの沈黙のあと、冷やかすような口調で言った。 《もしかして今ベッドの中とか。翔多くんと一緒に》 「――――」  図星を突かれて、浩貴は一瞬、言葉に詰まってしまった。すると即、今里が畳み掛けるように聞いてくる。 《やっぱりそうなんだー。へえー。なー、浩貴、翔多くんってベッドではどんなふうに乱れ――》  浩貴は最後まで聞かずに通話を終えた。そしてスマートホンの電源を切る。  不快でたまらなかった。 「……なに? 浩貴。電話、誰から?」  上半身を起こして、うーん、と大きく伸びをしながら翔多が聞いてくる。 「今里から。ヒマだから一緒に遊ぼうって」 「あははー。さすがにそれはできないねー」  翔多はのんびりと笑うが、浩貴は心に暗雲が湧き出てくるのを抑えられなかった。

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