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第115話 初めてのラブホテル 

 西洋のお城のような建物、竜宮城をイメージしているのだろう建物、屋上に自由の女神を模したものが立っている建物もある。  その安っぽい建物たちの前には、  休憩****円 宿泊*****円、と書かれた看板があり、電光掲示板には、『空き室あり』『満室』の文字が点灯している。  浩貴が握る翔多の手首から彼の緊張が伝わってきた。 「ひっ、浩貴っ、もしかしてラブホテル入るの?」  翔多が困惑しきった声を出す。 「ああ」  浩貴は、動揺しまくる翔多の手首をより強く握りしめると、『空き室あり』の文字が点灯しているお城のような建物の中へ入った。  初めてのラブホテル……。浩貴は少しだけ逡巡したあと、空き室の電気が点っている部屋のボタンを押し、投入口にお金を入れた。  鍵を手に取ると、ぽかんと口を開けて立ち尽くしている翔多の肩を抱くようにして、エレベーターへと乗り込んだ。  ラブホテルの部屋というのは、テレビドラマや漫画で見たそのままだった。  いつも二人が利用しているデラックス・ツインの部屋とは全然違う。……比べるほうが間違っているのだろうが。  しかし、セックスをすることを目的に作られているその部屋は、今のこんな気持ちでさえなければ、単純に楽しめたかもしれない。大人の遊園地とでも言えるような場所へこっそり踏み込んだような気分で。  浩貴は、リアクションに困り体を強張らせている翔多の腕を引っ張ると、自分の腕の中に抱きすくめて、強く唇を重ねた。

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