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第116話 初めてのラブホテル②
そのまま倒れ込むように広いベッドへ翔多を押し倒す。
彼の服を乱暴に脱がせてしまうと、浩貴もまた性急に服を脱ぎ捨て、再び深く口づけた。
もつれ合う二人の痴態を、ラブホテルの大きな鏡が鮮明に映し出している。
……まだ自分の怒りはおさまっていない、と浩貴は思う。
卑怯な手を使って翔多を手に入れようとした今里に対しては勿論、なんの疑いも持たずに今里の言うことを信じた翔多に対しても。
翔多は浩貴を裏切るようなことは、なに一つしていない。
だから、そんな翔多に対して怒りを感じるのは、理不尽なことなのだろうけれども。
「うっ……あ、ああ……浩貴っ……も、許して……」
なんども激しく翔多の中を突き上げると、彼は息も絶え絶えに泣きながらかぶりを振る。
それでも浩貴はスピードを緩めなかった。
翔多の両手をベッドへ押さえつけ、大きく開かせた彼の脚のあいだに自分の体を入れて、続けざまにえぐるように突き上げる。
「翔多……、翔多……好きだ……」
大切だから守りたい。
愛しているからこそ、めちゃくちゃになるまで抱きたい。
翔多を腕の中に抱き、愛していいのはオレだけだ。
他の誰の存在も許さない。絶対に許さない。
翔多の中の熱さと狭さに包まれ、快感にしびれる頭の中、浩貴は叫び続けた。
二人で何度の絶頂を迎えただろうか。
長い情交が終わり、翔多をさんざん善がり泣かせることで、浩貴の怒りの不完全燃焼は消え去り、二人のあいだに停滞していたどこか気まずい空気もなくなった。
やっぱり恋人同士にとってエッチは大切なんだね、などと少々照れくさい思いで語り合ったあと、二人は一緒にシャワーを浴びることにした。
バスルームにはラブホテルのお約束というのか、大きなマジックミラーがついていている。
だが、そのミラーは勢いよくシャワーのお湯を出すと湯気で曇ってしまい、
「こんなんじゃ部屋からは何にも見えないんじゃない? それとも見えそうで見えないのが、かえっていいのかなー?」
翔多がそんなことを呟きながら、ミラーにへのへのもへじを書いて遊んでいた。
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