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第117話 不純同性交遊?
シャワーを浴び終え、服を着て、さあ出ようかとなったとき、翔多が急に眉を下げ、困ったような表情をした。
「……ねー、浩貴。入るときはなんか浩貴の勢いに圧倒されて、なにも考えなかったけど、よく考えてみると、ラブホテルから出るのって、ちょっと恥ずかしくない? 男同士だしさー。誰かに見られたりすると……」
「え……?」
そう言われてみればそうかもしれない。
浩貴も入るときは冷静でなかったから、強引に行動することができた。でも……。
「建物の外におまわりさんとかがいてさ、補導されちゃったらどうしよう? 浩貴ー」
「なんで補導なんかされるんだよ? オレたちなにも悪いことしてないのに」
「だから……未成年の不純同性交遊とか……」
「…………」
二人のあいだを沈黙が駆け巡る。
同性だからということはさておき、未成年がラブホテルに入っているところを見られたら確かに補導される可能性はある。
それでも、いつまでもそこにいるわけにはいかないので、二人はとりあえず部屋を出ると、エレベーターで一階に降り、鍵を返した。
それからラブホテルの出入り口に立ち、人通りのないことを確かめてから、
「いいか? 翔多。いち、にの、さん、で、この通りを走る抜けるぞ」
浩貴はそう言い、翔多の手を握った。
「分かった」
緊張した声で翔多も応える。
「いち、にの、さんっ……」
浩貴の声とともに二人はラブホテルが立ち並ぶ通りを一目散に走った。
――第三者の目から見れば、このような行動のほうがよほどに不審に映るのだが。
そういうところはまだまだ未熟な二人であった。
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